<質問>
34ページ本文10行目に「『マイナス×マイナスはマイナスである』という数学の世界をつくることも不可能ではない。だが,そこで行われる計算は非常に複雑になってしまう」とあります。どのような計算がどのように複雑になるのか,何か具体的例を教えて下さい。

東京都北区,H.S.さん
10月25日質問受付
<回答>
「1次方程式 −2x=x−3 …(1)をとけ」という問題を考えてみましょう。普通に考えれば,左辺の−2xを右辺に移項し,右辺の−3を左辺に移項すれば,3=3xとなり,x=1と求まります。
 さてここで,「マイナス×マイナスはマイナス」であるとしてみましょう。方程式@のxに−3を代入してみます。すると,
 (1)の左辺=(−2)×(−3)=−6
 (1)の右辺=−3−3=−6
となって,x=−3 がこの方程式の解であることがわかります。ところが,もとの方程式の左辺の−2xを移項して,方程式の形を「0=2x+x−3 …(2)」としたあとに,xに−3を代入してみましょう。すると,
 (2)の右辺 =2×(−3)+(−3)−3
=−6−3−3
=−12≠ (2)の左辺
となって,たった1回の移項をしただけで,もはや(2)の等号はなりたたなくなってしまいます。つまり,「マイナス×マイナスはマイナス」というルールのもとでは,普通の移項をしてはいけない,ということになってしまうのです。このルールのもとでは,複雑な移項のしくみを新たに導入しなければ,簡単な1次方程式にすら,正しい答を求めることはできなくなるというわけです。
 同じような例は,ほかにもいろいろとあげることができます。こうした例を見ていくと,「マイナス×マイナスはプラス」というルールが,いかに数学をシンプルなものにしているかがわかります。
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