<質問>
30ページの22行目の自然対数の底「e=2.71…」というのは, 一体どのような数なのでしょうか。くわしく教えてください。

静岡県浜松市,Y.S.さん
10月25日質問受付
<回答>
 自然対数の底「e=2.71…」は,√2や円周率πと同じ「無理数」の仲間であり,小数点以下の数字がくり返しなしにどこまでもつづきます。eは無理数なので,eを整数を分子・分母にもつ分数の形であらわすことはできません。
 さて自然対数の底eは,貯金や借金の利子と深い関係をもつ数です。そこで,次の例題について考えてみましょう。

「例題」
今から預金して,1年後に解約するなら,次のA銀行,B銀行,C銀行のどれに預ける方が得でしょうか?
A銀行「1年後に100%の利子がつきます」
B銀行「半年後に50%の利子がつきます。その利子を加えた額に対して,もう半年でさらに50%の利子がつきます」
C銀行「3か月後に25%の利子がつきます。その利子を加えた額に対して,もう3か月でさらに25%の利子がつきます。以降,同様に3か月ごとに25%の利子がつきます」

「答」
A銀行に預けたお金は,1年経つごとに1+1=2倍にふえます。一方,B銀行に預けたお金は,半年経つごとに1+1/2=1.5倍にふえます。1年後には(1+1/2)^2=2.25倍にふえることになります。そしてC銀行に預けたお金は,3か月(=1/4年)経つごとに1+1/4=1.25倍にふえます。1年後には(1+1/4)^4=2.44140625倍にふえることになります。
 こうしてくらべると,C銀行に預ければ最終的には預金額が最も多くなることがわかります。

 この例は,式 {1+(1/n)}^n について,nが1,2,4の場合をくらべたことになります。それでは,nの値をどんどん大きくすると,この式の値はどうなるでしょうか。以下に,実際に計算してみましょう。

・n=5のとき
{1+(1/5)}^5=1.2^5=2.48832
・n=10のとき
{1+(1/10)}^10=1.1^10=2.59374246…
・n=100のとき
{1+(1/100)}^100=1.01^100=2.70481383…
・n=1000のとき
{1+(1/1000)}^1000=1.001^1000=2.71692393…
・n=10000のとき
{1+(1/10000)}^10000=1.0001^10000=2.71814593…

 このように,nをどんどん大きくしていくと,この式の値もどんどん大きくなります。ただし,その増加はだんだん鈍くなり,「ある数」にかぎりなく近づいていきます。この「ある数」こそ,2.71828183…,つまり記号eであらわされる「自然対数の底」なのです。
 なお自然対数とは,ある数を「eを何乗すればその数になるか」という値に置きかえたものを指します。eや自然対数がもつ重要性を正確に理解するには,「関数」や「微分・積分」についての知識が必要です。ここでは,それらについてくわしく述べません。ただし,「自然現象や実験結果,経済活動などに見られる『変化』を数学的に分析するときに,eという数はきわめて重要な役割をになっている」ということだけは,ここで強調しておきましょう。
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